9歳差は、アリですか？

涼子、涼子と口の中でつぶやく。中々いい響きだ。あとは実際に本人の前で言えるかの問題である。

「言えるかなあ」
「大丈夫だよ。なんなら、俺がレナとのデートがてら見守っといてやろうか？」
「いいの⁉︎できればお願いしたい。一人じゃ、心細いし」
「後ろで見とくよ。じゃあ、約束の少し前に現地入りでシュミレーションするか！」

ヨッシーに半ば強引に決められたが、浅岡的にも付いて来てもらう方が安心だ。そこそこモテるが、恋愛初心者の浅岡には一人でデートプランを立てるというのはだいぶ酷な話とヨッシーも思ったのだろう、正解だ。
学校が終わるまで、浅岡はそわそわして落ち着きがなかった。緊張のあまりだ。デートなるものを初めてするのである。しかも、呼び捨てにする、というミッションも加わって重圧だ。

「勢いで決めちゃったけど、大丈夫かな…」

プレッシャーより、早くも諦めモードだ。デートという事で、一旦私服に着替えてから、待ち合わせの駅までヨッシーとその彼女と並んで歩いていたが、どんどん暗くなって行く。

「だーいじょうぶだって！なっ？レナ」
「涼子さんだっけ？その人もデート誘われて嬉しいと思うから、浅岡くん自身持って大丈夫よ」

デート前とは思えないくらい、あまりにも暗く、親友の彼女にまでフォローされる始末だ。