9歳差は、アリですか?
なんとか、喫茶店で話し合いは落ち着いたが、浅岡は決まるなり足早に教室を出た。デートの日は制服ではなく、私服に着替えるようにしているのだ。制服だと、あからさまに年下感があり、弟さん?と間違えられるのが常なので、意識的に少しおしゃれをしていく。

「あ、悠くん待った?」

駅で待つ浅岡に小走りで近づいた立原も、仕事仕様のスーツではなくきれいめなシャツとスカートだった。デートのために来てくれているならかなり嬉しい。

「涼子珍しいね、スカート」
「今日は悠くんと帰るからね、ちょっとはおしゃれにしときたいし」

まじか!世界中に向かって叫びたい。涼子と言い慣れたこの頃、立原からも少しずつだが、積極的になり嬉しい限りだ。

「涼子、凄く綺麗。もっと好きになっちゃうよ」
「ありがとう。悠くんおしゃれだから、あたしも釣り合いたいもの、スカートだって着たくなるよ?」

浅岡がおしゃれにしてるのは立原に釣り合う為であって…、しかし、立原がそう言ってくれるのは本当に嬉しい。

「どこ行く?」
「どこ行こっか、とりあえず喫茶店行く?」

二人とも甘党という共通点があり、デートは主にスイーツを食べる事が多い。というか、浅岡はデートの仕方をまず知らないので、他にレパートリーがないのだ。立原の方も元彼とのデートは積極性に欠けており、デートの数はこなしているのにこちらもデートとはいえ何をしたらいいのかさっぱりである。つまりデートプラン組立初心者カップルなのだ。

「あ、ちょっと遠いけど、汐留に落ち着いたいい感じの店見つけたんだ。そことかどう?」
「汐留?いいね!行こ」

カフェ巡りが趣味というのも最近知った共通点で、会うたび色々お互いが知れて、新鮮だ。
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