9歳差は、アリですか？
おそらく前までの立原では、断ったりする体力を考え、笹山に分かりやすいアプローチを受けても応対していた筈だ。
しかし、今は違う。浅岡が好きだ。自分から、なんとも勝手な理由で浅岡を傷つけてまで振ったというのに好きだとかどうかしている。だから、誰とも付き合いたくないのだ。浅岡にも釣り合う若い子と付き合って欲しい。浅岡は立原に夢を持ってい過ぎる。一度別れれば、立原がそこまでいい女でなかったことに気付くだろう。年増無愛想ドライ女より可愛らしい年下とかの方が釣り合っていると気付いてくれる筈だ。
その反面、誰とも付き合って欲しくないとも思っている。6年間立原だけを思ってくれたのに、他の人に取られたくないなんて勝手な事さえ浮かんできた。
つくづく自分の面倒くささに呆れる。正直に好きだから、出張の間待っていて欲しいと言えばいいのに、恩着せがましく他を好きをなりなよとか言っちゃって。本当に嫌いなら浅岡の方から別れを切り出すはずだから、ただの優しさの押し付けで自己満足だ。最っ底、あたし。

「立原さん？」

あああ！黙れ笹山！

「…これ、頼まれていた資料です。それではお先に失礼します」

罵声は飲み込んで、無で笹山に資料を押し付けた。同じ所にいるのすら嫌で、急いで机を片付けて帰路につく。
笹山は客観的に見ても確かに整っていて、モテるのはわかるが、それだからこそ、笹山が立原を構うことで他の女子社員からそれなりに嫌がらせがあるのだ。
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