幻恋【続】
私たちの先輩
1[恵美side]
私には、とても優しい先輩がいた。
ニ上春華先輩。
とても憧れの存在の先輩だった。
私は中学校で、始めから吹奏楽部に入部する事を決めていて、中学校に入学して体験入部期間が始まると、真っ先に音楽室に向かった。
音楽室がある旧校舎は、古い雰囲気がどこか懐かしい感じがして、どちらかと言うとわりと好きだった。
そして、フルートをやりたいと最初から決めていたから、正式入部をした後、すぐに希望書を顧問に提出すると、すんなりとフルート担当になる事が出来た。
フルート担当の先輩は、三年生が三人、二年生が三人で、同級生は私を入れて三人の、全部で計九人。
その中で、二年生の一人が春華先輩だったんだ。
「二年一組、ニ上春華です。
これから、よろしくね」
春華先輩は、最初から愛想が良かった。
優しく指導してくれたし、私があるミスを犯してしまった時も、一緒に謝ってくれたし、たまに私がタメ口を溢してしまう時も、厳しくない感じで、優しくお説教もしてくれた。
そんな憧れの春華先輩。
先輩みたいな先輩になりたいと思った。
…なれるかな。
…ううん。
きっと、なれるよね――!