幻恋【続】
君の隣で
[寧人side]
「寧人!」
俺の名前を、朝っぱらから大声で呼ぶアイツ。
おい、わかってんのか?
ここ、電車だぞ?
確かに俺だって、約束もしてないのに、たまたま偶然こんな所で会ったら嬉しいに決まってるけどさ。
さすがにここで大声って、マナー違反じゃないのか?
しかも、本とか読んでる奴いるし、完璧にKYじゃないか。
「おはよっ!寧人」
「…あぁ、おはよ」
今は、電車の中。
俺もコイツも、大学へ行く為に電車に乗っている。
こうして、俺たちは、同じ大学の、同じ科に進学した。
この大学は、俺にとっては平均的なレベルの大学だけど、コイツにとってはかなりレベルの高い大学で、相当頑張ってもほぼ無理と言われていたのに、なんとコイツは、奇跡的に受かっていた。
ほんと、結果ってわかんねぇ。
「寧人と、同じクラスかなぁ?
違ってたら、ショック~」
春華が、困った表情をしながら不安げな声をあげた。
俺たちが進学予定である大学は、どうやら2クラス編成みたいで、それで別れたらどうしようと、春華は、物凄く焦ってるようだ。