幻恋【続】
未来へ
[衿side]
…私の見つめる先には。
…いつもいつも、あの人がいた。
その名は、川崎寧人。
素直に、見た目で彼に恋に落ちてしまった、面食いの私。
良い感じに遊ばせてある髪、切れ長の目、高い鼻、薄いピンクの唇、高い背……。
今日も、高校生にもなって悪ふざけをしている幼稚過ぎる男子たちを、席に座って遠目で見つめている。
他の男子たちとは違い、凄くクールで、孤独だった。
彼女なんかいないと思ったから、今のうちに川崎君の彼女になりたいと思った。
…けれども、私の予想は、一瞬にして打ち砕かれた。
ある放課後。
HRが終わり、教室を出たら、扉の横に川崎君が無表情で立っていた。
…誰かを待っているのかな。
一方、隣のクラスでもHRが終わり、ぞろぞろと人が出て来た。
その中で、川崎君が探していたある人が出て来ると、川崎君は少しだけ視線を動かして、その人の方を見た。
「きゃあぁ~~!
寧人、待っててくれたの!?」
「うわっ!
やめろ、抱きつくなって!」
ある女の子が、川崎君にいきなり飛び付いて、慌て始めた川崎君。
「ほら行くぞ」
「あぁっ、待ってよぉ!」