幻恋【続】
「! お前…」
川崎君がびっくりしているけど、そんなの今の私には通用しなかった。
「諦められない。
川崎君が、どうしても諦め切れないの」
Aちゃんに対する嫉妬心。
この願いが叶わなくても、川崎君に触れたくてたまらなかった。
つまり…これははっきり言ってしまえば、私と川崎君のセックスって言うものと言う事になる。
そして、川崎君の場合は…状況を知らない場合、誰がどう見ても“浮気”と判断されてしまうだろう。
「ねぇ…川崎君……どうして?
どうして、私の事好きじゃないの?」
「……」
一番聞きたかった質問を聞いてみたものの、川崎君は無言だった。
すぐに拒絶され、やめろって怖い顔して振り払われるかと思ったけど、川崎君は、決して私を振り払おうとはしなかった。
そんな良い所で………邪魔者の登場。
「…寧人」
川崎君の事を可愛らしい声で呼んだ子。
川崎君の事を名前で呼ぶ女の子は………少なくともこの学校では一人しかいない。
そう………Aちゃん。
Aちゃんは、今日も川崎君と一緒に帰る予定で迎えに来たのだろうか。
張本人は、驚きを隠せない様子。