一粒の恋
一粒目 山瀬愛紗
山瀬愛紗(やませ あいさ) 18歳
ごく普通の女子高生
恋は、本気でしたことがないのかもしれない
「あの人かっこいい!」とか
「この芸能人と付き合いたい!」とか
「先輩にバレンタインチョコあげようかな~」とか
そういうミーハーなことは数えきれないくらいあったけれど
本当にドキドキしたことがないのかもしれない
・・・いや、あったけれども
それは12歳のあの時までで止まっている。
友人に聞いた
「小学生の恋とか恋愛に入らないよ
人生かける恋ってやっぱり高校生からじゃないかな?」
・・・小学生の恋も高校生の恋も大して変わらないと私は思う
「ただいま~」
「あ、愛紗!!おかえり!ちょっとこれ見てよ~!」
家に帰って早々、母はそう言って私の背中を押して
「なに?」
「これ、見て!」
母が指をさした方向はパソコンの画面
「なにこれ」
「小学生のとき同級生だった小鳥はるとくん覚えてる?」
「・・・ことりはると?あぁそんなのいたね」
「彼ね、プロのサッカー選手目指してたでしょ?
なんと今度、高校生のサッカー選手大会に出るのよ!」
「・・・ふーん、着替えてくるねー」
「あら、随分冷たいんじゃない?
小学生のときバレンタインのチョコとかあげたくせに」
「なんで知ってるの!?」
「ふふふふ」
恐るべし、我の母
こっそりあげてたつもりでいたのだけれど・・・