あすなろ
1章 3日目のお見舞い
病院のエレベーターの中にいた。

腕の傷がうずく。

ここ三日間。学校が終わるとすぐに、病院に来ている。

エレベーターの中でも薬品の匂いがする。
どうも病院の匂いと空気は好きになれない。



彼女の病室は8階。

着くまでに、けっこう時間がかかる。


この時間も好きになれない。

上っていく間に、彼女と初めて出逢った時のことを思い出した。

色褪せることのない記憶。


今でも鮮明に覚えてる。
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