小さな恋物語
「ほのかは藤川のこと、どう思ってんの?」
「どうって?」
いつもと変わらない昼休み、友達に聞かれた。
どう思ってるって…毎日毎日よく来るなぁとは思うけど。そういう意味じゃないよね。
「藤川はうちら2年とか先輩の間ではマスコット的な位置だけど、1年生はそうでもないわけよ。いつも優しくて笑顔で、まぁ理想の相手みたいな。藤川、そこそこモテるよ?」
「そうなんだ…」
ふと窓の外に目をやると、藤川くんと1年生の女子が何やら神妙な雰囲気を纏って立っていた。
「ねぇ、外に藤川くんがいるんだけど」
友達は窓から身を乗り出して「えっ」と声を上げた。
「あの子、1年の中でもかなりマジで藤川を好きみたいだよ。何度か告白してるみたい」
「何でそこまで知ってるの」
「私、結構藤川と喋ってるから。ほのかがどんな食べ物が好きか、とか。藤川の情報屋なの」
いつの間にそんなことに…。私の情報が流れてるなんて思いもしなかった。