小さな恋物語
今日も藤川くんは昼休みにお菓子を持ってやって来て、でも私はちょっと上の空だった。
藤川くんが1年生の子に何を言われていたかは想像がつくけど、覗き見したなんて言えないし(窓から見えただけなんだけど)、藤川くんもいつもと何ら変わりない態度だったし。
「あの」
上履きをしまって靴を手にしたとき、背後から声をかけられた。
振り返ると、今まさに思い返していた1年生の子がいて。
「折山先輩ですよね」
「そう…ですけど」
髪が長くて華奢で、清楚な感じの女の子。
「私、1年の坂本です。あの…藤川先輩とはどういう関係なんですか?藤川先輩のこと好きなんですか?」
「えっ?」
矢継ぎ早に言われて頭が追いつかない。
どういう関係と言われても、毎日昼休みに藤川くんが私のクラスにお菓子を持ってやって来て。好きかどうかなんて…まだ考えたことがない。