小さな恋物語


今日も藤川くんは昼休みにお菓子を持ってやって来て、でも私はちょっと上の空だった。

藤川くんが1年生の子に何を言われていたかは想像がつくけど、覗き見したなんて言えないし(窓から見えただけなんだけど)、藤川くんもいつもと何ら変わりない態度だったし。


「あの」


上履きをしまって靴を手にしたとき、背後から声をかけられた。
振り返ると、今まさに思い返していた1年生の子がいて。


「折山先輩ですよね」

「そう…ですけど」


髪が長くて華奢で、清楚な感じの女の子。


「私、1年の坂本です。あの…藤川先輩とはどういう関係なんですか?藤川先輩のこと好きなんですか?」

「えっ?」


矢継ぎ早に言われて頭が追いつかない。

どういう関係と言われても、毎日昼休みに藤川くんが私のクラスにお菓子を持ってやって来て。好きかどうかなんて…まだ考えたことがない。
< 102 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop