小さな恋物語
「私は藤川先輩が好きなので、何回も告白して…フラれてばかりです。もし折山先輩がその気がないなら藤川先輩にはっきり言ってください。そうじゃないと藤川先輩は」
「そうじゃないと、僕が何?」
どこから現れたのか、藤川くんが私を背中に隠して。私より少しだけ背が高い。体の線も細いのに背中は広くて。
「……そうじゃないと、藤川先輩は折山先輩以外に目が向かないじゃないですか」
「僕、さっきも言ったよね?別にほのちゃんが僕を好きじゃなくていい。どんな話でも出来るくらい仲良くなれることが今の目標」
今まで何とも思ってなかったのに…ドキドキするのはどうしてだろう。
「僕はほのちゃんが好きだから、他の人に目が向かないのは当たり前のこと。何度も告白してくれてありがとう。でも僕の気持ちは変わらないよ。ごめん。ほのちゃん、行こう」
「えっ、ちょっと待って」
藤川くんに腕を掴まれて、慌ててスニーカーに足を突っ込んで。藤川くんはずんずん歩くからついて行くのがやっと。
「藤川くん!待って!止まって!」
校門を出ると藤川くんはようやく立ち止まってくれて、腕を放してくれた。