小さな恋物語


七未はお返しを期待しているかのようにオーバーな笑顔を見せる。


「お前、俺にチョコくれたとき何て言ったよ?あんなこと言う奴に返すモンなんて、文句くらいしかねーよ」


七未はポカーンと口を開けて首を傾げたまま、しばらく動かなかった。

そして突然「あっ!」と声を上げる。


「シゲは彼女もいないし、ぶっきらぼうだからきっと今年も本命なんてもらえないよね~。顔はカッコイイのに愛想がなくてモテないだろうから、今年も私が友チョコをあげよう!だっけ?」

「一字一句憶えてんのかよ…。ま、そういうことなんで、今年は無しで」


七未は不満そうに口を尖らせている。


「本当のこと言っただけなのに」

「それが余計なんだよ、バカ」



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