小さな恋物語
瑞樹は毛布の上から私のお腹にそっと手を置く。
じんわりと瑞樹の体温が伝わってきて、何だか安心する。
「俺の元気やる」
「瑞樹は元気ないくらいがちょうどいいもんね。いつもガチャガチャうるさいし」
瑞樹は子どもの頃からおしゃべりで減らず口で、よく口喧嘩もした。
「俺が元気なかったら異常に心配するくせに、よく言うな」
お腹にあった手が今度は頭を撫でてくれる。
瑞樹はいつだって何だかんだ優しいけど、こんなふうに触られるのは初めてでドキドキしてしまう。
「瑞樹…?」
「頭痛いんだろ?良くなるといいけど」
「何で分かったの?」
頭も痛いなんてお母さんも言ってなかったはずなのに…。
瑞樹は私の頭を撫でながら髪を梳いてくれる。
「何年一緒にいるんだよ。芽々のことは俺が一番よく知ってる」
「何その付き合ってます感」
子どもの頃からずっと一緒。お互い恋人だっていたし、写真を見たことも見せたこともある。