小さな恋物語



絵文字も顔文字もない文章だけの素っ気ないメールを、無機質なスマホの画面が映し出していた。


誰もいない給湯室で私は静かにため息を吐き出す。


先週すっぽかされて電話をかけたら、電話越しに賑やかな声がうるさいくらいに聞こえてきた。

私との食事の約束を忘れて、会社の飲み会に出ていたのだ。


その埋め合わせにと昨日約束していたのに、接待が入ったから明日にしてくれと言われた。


そして今日。
またドタキャンのメール。

せめて電話で言ってくれたらいいのに。電話一本する時間もないってこと?


彼とはかれこれ一ヶ月も会っていない。


私だってもう子どもじゃないから。色んな思いが胸の中で渦巻いていく。
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