小さな恋物語
「先輩、何してるの?休憩終わっちゃいますけど」
後ろから声がして振り返ると、そこには同じ課の後輩が立っていた。
壁に片手をついて、どこか不機嫌そうな表情だ。
「ふーん。また相手にされてないんだ」
背が高い彼は私が手にしたままのスマホの画面が見えていたらしい。
とっさに隠してももう遅い。
「また、って…」
「だってそうでしょ?それ、女しかないと思うけど」
言われなくても分かってる。でもそれは最悪の事態のことだし、本当に仕事なら小さいことでぐちぐち言うような女にはなりたくない…。
「先輩、どうせ今夜も暇なんでしょ?付き合ってくださいよ。待ち合わせはいつものところで」
「ちょっと待っ」
彼は私の返事なんて聞かずに出て行ってしまった。