小さな恋物語
「凛さん、聞いてみればいいのに。本当に仕事なのかそれとも女なのか」
彼は残っていたビールをぐいっと飲み干すと、新たなジョッキに口をつけた。
美味しそうにビールを飲む顔が可愛い。
「私だったらそんなこと聞かれるの嫌だもん。いちいちウザいでしょ?終わるならそれでもいいかなって思うし…」
30手前にもなると無駄なことをしたくないと思ってしまう。
続く見込みのない恋愛、ぐずぐずした関係。
でもそう思う気持ちとは裏腹に、確かめることに臆病な自分がいるのも事実で。
長島くんはうつむいていた私の顔をのぞき込んで言った。
「嘘。凛さん、実際はそんなこと言えないでしょ?俺のこういう誘いだって断わらないんだから。最初のときだって俺を拒まなかった」
「それは…」