小さな恋物語



『だったら俺と付き合ってみませんか?俺、先輩のこと好きだから。利用してください。都合の良い関係でいいんで』


彼氏にも久しく言われていない“好き”というワードにやられたのかも知れない。

そのときは丁寧に断わったのに、そのあとに私は長島くんを受け入れた――――。



一緒に店を出て、彼は人のいない場所で立ち止まるとキスをしてきた。

噛みつくような貪るような、紛れもなく私を求めて唇を押し当ててくるその行為に、私は拒絶するどころか口を開いて彼の舌を求めた。


そのまま彼の家に連れて行かれて、もつれ合うようにベッドに押し倒されると、“都合の良い関係”とは言えないほど私を優しく扱う。


キスも愛撫も私を傷つけないように、彼は自分にストッパーをかけているようにも感じた。

私は年下の彼を利用したんだ。埋まらない心の寂しさを埋めようとして。


そして繋がる瞬間に、長島くんは私の唇に軽くキスをして穏やかに笑みを浮かべた。
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