小さな恋物語



『やばい…俺、今すげー幸せで』

『こんな、簡単にホイホイついてくる女なのに?』

『俺が連れてきたから、そんなことは関係ないんです。今ここにこうして凛さんがいることが幸せ』


このとき初めて名前を呼ばれた。そして私も名前を呼んだのだ。

『晴翔』、と。





「凛さん」


長島くんに呼ばれて、自分がぼんやりしていたことに気づく。


「ごめん。何?」


目の前の彼に視線を合わせたとき、一瞬で唇をふさがれた。

触れるだけのキスで、チュッとリップ音が響く。個室で誰に見られるわけでもないのに、不意打ちのキスはたまらなく恥ずかしい。
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