小さな恋物語



去年仕事で凡ミスをしてへこんでいたときに、当時ほとんど話したことのない高木先輩がフォローしてくれた。


そしてその仕事が何とか形になって終わったときに、高木先輩はニッコリ笑って私の頭をわしゃわしゃ撫でて言った。


『誰だってミスするしさ、俺もそうだし。上司だってみんなそうだよ。だから気にすんな。間違ったらやり直せばいいんだから。分からなかったらいつでもいいから聞け』


こんなに優しくされて落ちない女はいないよ…。思わず顔が赤くなるのが分かって、頭から手が離れると頬をおさえてバレないように必死だった。


『そうだ、ちょっと待っとけ』


小走りに自分のデスクに戻ると、コンビニのビニール袋をガサガサと漁ってまた私のところへ戻ってきた。


目の前に出されたのはシュークリーム。


しかも季節限定の苺のやつ。
< 32 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop