小さな恋物語
『俺、疲れたときは甘いもの派なんだよね。食おうぜ』
『でもこれ、先輩の…』
『いーから。気にしないで食え』
『じゃあ、いただきます』
先輩、甘いものが好きなんだ…。
この情報と、美味しそうに食べる先輩の顔はずっと忘れられない。
この日から私たちの距離が少し近づいて、今も私は先輩に憧れている。
「…い、おーい!おいっ!小島」
「うわっ!」
突然肩を叩かれてびっくりして振り向くと、高木先輩が立っていた。
私、完全に意識が飛んでたんだな…伸びをしていただけなのに。
「天井見たまんま身動きしないから…焦ったわ。疲れてんだろ、もう終わらせて帰れよ」
「でもあとちょっとで区切りつくし…」
キュルルルルー…
ギュルルルルー…
私たちの間にお腹の底から切ない音が響く。そしてそれは見事にハモっていた。