小さな恋物語
「あー…」
先輩は困ったように、少し照れたように自分の髪の毛をぐしゃぐしゃにして、大きな咳払いを一つ。
「何とも思ってない奴には何もしないよ。特に、女の子には。その…」
「その?」
ぐいっと顔が近づく。
先輩の目は綺麗な薄茶色。
こんなふうに気をもたせるような言動をされると期待しちゃうよ…。
「いいから、早くしろ。ぐずぐずしてると連れて行かねーぞ、ゆま」
「えっ、私の下の名前…初めて呼ばれた…」
舌を出していたずらに笑う高木先輩に、私たちの距離がまた少し縮まる。
先輩も私と同じようにドキドキしてたらいいな。
私のことを好きでいてくれたらいいと願った。
End