小さな恋物語
「また寝てる…」
放課後、屋上のドアを開けて見渡すと、コンクリートにそのまま寝そべる先輩を見つけた。
そっと近づいて顔を覗き込むと、とても気持ち良さそうに眠っている。
茶色い髪の毛はふわふわと風に揺れて、先輩の近くには食べかけのクリームパン。
倉本先輩は勉強は苦手らしいけどスポーツはどれも得意。
犬顔で男性にしては愛らしい顔立ちで、身長は私より少し高い(つまり男としては小さい方)。
いつも明るくて誰とでも仲良くなれて友達も男女問わず多い――だけど時々こうして一人で静かに過ごしている。