小さな恋物語



でも好きな人に会いたくなるのは当然で、本当に時々こうして放課後、眠っている先輩をこっそり見に来る。
バイトがない日はこうやって昼寝しているから。


まつ毛が長いなぁ…。ふさふさしていて羨ましい。ちょっと丸みのある耳も可愛いし。女の子みたい。


「亜実」

「わっ」


いきなり名前を呼ばれたからびっくりして、尻もちをついてしまった。眠ってると思ってたのに…。


「亜実、何で俺に素っ気ないの」

「えっ…」

「声かけても逃げるようにして行っちゃうし。俺、何かした?嫌われるようなこと」


先輩は悲しそうな顔をして、尻もちをついた私に手を差し伸べてくれた。


「ここにも全然来なくなってさ。…亜実が時々ここに来てるのは気づいてたんだけど、声かけられなくて。ノーテンキに見える俺でもやっぱ傷つくわけ。以外とナイーブなの」
< 47 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop