小さな恋物語
でも好きな人に会いたくなるのは当然で、本当に時々こうして放課後、眠っている先輩をこっそり見に来る。
バイトがない日はこうやって昼寝しているから。
まつ毛が長いなぁ…。ふさふさしていて羨ましい。ちょっと丸みのある耳も可愛いし。女の子みたい。
「亜実」
「わっ」
いきなり名前を呼ばれたからびっくりして、尻もちをついてしまった。眠ってると思ってたのに…。
「亜実、何で俺に素っ気ないの」
「えっ…」
「声かけても逃げるようにして行っちゃうし。俺、何かした?嫌われるようなこと」
先輩は悲しそうな顔をして、尻もちをついた私に手を差し伸べてくれた。
「ここにも全然来なくなってさ。…亜実が時々ここに来てるのは気づいてたんだけど、声かけられなくて。ノーテンキに見える俺でもやっぱ傷つくわけ。以外とナイーブなの」