小さな恋物語
嫌なことが重なるのはどうしてなんだろう。
私の不運は昨日の朝から始まった。
もう少しで会社に着くという時に、パンプスのヒールがマンホールの蓋のわずかな溝にハマって勢い良く折れた。
危うく転びそうになったものの何とか持ち堪えたのに、ハマった方の右足首を軽く捻った。
パンプスは去年の冬のボーナスの時に奮発して買った高級ブランドのお気に入りの物で、とても大切に履いてきたのに。
どんな服装にでも合う艶のあるライトベージュで、でも裏側はマッドレッドという何とも言えない素敵なデザインだった。
昼休みに足を引きずりながら修理に出しに行ったら、修理代は二万…。とんでもなく痛い出費。
会社に戻れば後輩が大事なデータを入力中に誤って全部消してしまい、課を巻き込んで大騒動。自分の仕事も立て込んでいるのに、納期が近い方を優先ということで全員で手分けをして手伝った。結局それが終わったのは19時を回ったところ。
そこから自分の仕事を片付けて、家に帰ったのは日付けが変わろうかという頃だった。
お風呂に入って、もう寝ようとベッドに入った時に雄也から連絡がきた。