小さな恋物語



「寝ぼけてないよ。びっくりしてるだけ」

「そうじゃなくて」


ハッキリしてくれよと苦笑いしている。


「そうだなぁ。まず家に帰って、ちょっとオシャレして、私が修理に出したパンプスを取りに連れて行ってくれたら考えてもいいかな」

「は?何だよそれ。アッシーじゃん」


ちぇっ、と不満そうに言いながらも雄也は笑った。

だってあれは私のお気に入りで、初めて履いた日の朝、出勤途中で偶然会った雄也が言ったんだ。

『似合うじゃん。藍が頑張って仕事して買った証だな。かっこいいよ』って。


だから、新しい一歩を踏み出すならあのパンプスを履かないと。

それから雄也と出かけよう。

付き合ってもいいよって、返事をして。



End



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