小さな恋物語
「口実だよ」
「口実?」
「美羽の顔見る口実」
え…。
じゃあ、もしかして勇太は私のこと…。
「忘れ物は美羽の顔見る口実。甘いものは美羽と二人で出かけるため。…色違いのリュックは、他の男を美羽に近づけないために」
「ちょっと待って。勇太、私のこと」
「好きだよ」
私から目を逸らさずに真剣に言うから。心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい、鼓動が早打ちしている。
「あー、こんなタイミングで言うつもりじゃなかったのに。でもまあ、すっきりした」
すっきりしたって。私はまだ何も答えてないのに。
「…いつからそう思ってたの?」
「入学式の日、話しかけたじゃん。あのとき。まあ、一目惚れってやつ」
タイミング悪くパンケーキが運ばれてきてしまって。
ものすごくトロピカルで美味しそうなのに、何にも頭に入ってこない。なのに勇太は涼しい顔でパンケーキを撮っている。