小さな恋物語
「樹、ラッキーだね」
ゴロゴロ、と雷の鳴り響く音がしてすぐにドッカーンと爆音がした。
「わっ!」
思わずビクッとしてしまう。これは確実に落ちた音だな…。さっきより大きい音だし。
「俺いるから。大丈夫」
樹の手が私の頭を撫でる。
「私、雷苦手で…。電気消すとカーテン閉めてても光るの見えたりするし」
「怖かったら抱っこしてやるから」
「妹ちゃんに普段そうしてるの?」
「いや。妹は別に平気。むしろ窓から雷見てるな」
樹の弟は中学生で妹は小学生。普段一緒にゲームしたり遊びに連れて行ったり、見た目はチャラチャラしてるけど樹はちゃんといいお兄ちゃん。
「じゃあ彼女か」
「俺、いないよ」
「えっ」
「半年前に別れてるから」
知らなかった…。いつだったか一つ下の子と一年くらい付き合ってると聞いてから、ずっと上手くいってる印象だったから。
私が樹に彼女の話を聞かなかったから知らなかったんだけど。樹も私に話したりしないし。