小さな恋物語
「やっぱ侑美が来てくれると助かるな~。俺的には週一くらいで来てほし…」
「やだよ。自分で出来るでしょ」
「カレーとハンバーグしか作れない」
「今は掃除の話。ていうかカレーが作れればシチューも肉じゃがも作れる」
「肉じゃがの味付けが分からない」
ああ言えばこう言うな関係は大学時代から変わらない。
優吾の部屋は1DKで日当たりが良くて、いつも綺麗に片付いているんだけど。時々、掃除と料理をよろしくと連絡がくる。
「掃除はこれで終わりね」
床も窓も綺麗に拭いたから、自分の家でもないのに気持ちが良い。優吾はコンロの掃除をしている。シンクだってほとんど磨くところはないような気がするけど。
「それで?今日は何が食べたいの」
「からあげ!」
「鶏肉切って、からあげ粉まぶして揚げればいいんだよ?自分で出来るでしょ」
「やだよ。揚げ物なんてレベルが高すぎるから」
何を言っているんだこの男は。切って油で揚げるなんて煮込むより簡単な気がするけど。
でも仕方ない…。何が食べたいか聞いてしまったのは私だし。