小さな恋物語
「何で謝るの?」
実紅はまったく分からないと首を傾げている。
この一ヶ月、僕は仕事漬けで。日曜日もひたすら家で仕事をしていたし休日出勤もあった。
だから実紅とも会えていなくて。時々やってくる僕の忙しさを知っている実紅は僕の仕事に区切りが着くまでは連絡をせず、ただ待っていてくれる。
「うん。実紅が髪を切って、ついでにパーマをかけたことも今日知った。こんなに天気がいいのに、僕は伸びちゃって。一ヶ月も放ったらかしにしたんだから、本来ならここでデートに行くべきじゃん」
鎖骨まであったストレートの髪の毛はボブになって、ふんわりしたパーマがかかっている。よく似合っているし可愛い。
「私は好きなことをして結構自分の時間を楽しんでたよ。良平が時々ものすごく忙しくなるのは知ってるし、私だったらそんなときにわざわざ髪切ったなんて連絡がきても、だから何?って思う気がする。もちろん良平はそうじゃないけど。しっかり仕事に集中しててほしいじゃん。仕事に対する姿勢も評価に繋がるんだからさ」