初恋の人は人魚×アイドル!?
変わらぬ想いと変わりゆく君
♪君に届けたい この想いは きっと きっと 永遠だから⋯⋯♪
れん兄、ステキ⋯⋯王子様みたい⋯⋯そんなことを思いながらステージを一心にみつめる私は、HRNのライブにきているところ。
相手をするのが心底疲れるSUNNY'Sの奴らも忘れてライブを満喫している。
隣にいるともちゃんも相当興奮していて先程から尋常じゃないほどに「フウガ」とかかれたうちわを振り回している。
「フウガくん、まじ天使だわ⋯⋯」
「そっかー」
棒読みでそういうことしかできない。風雅、可愛いか?⋯⋯
明らかにれん兄やナギのほうが⋯⋯
と思いつつステージを一心にみつめペンライトをふる私。
はあー⋯⋯れん兄、かっこいい⋯⋯
王子様チックの衣装も手伝って、本物の王子様にみえてくる。
「あ⋯⋯」
「ん?どうかした?」
「ううん。なんでもないよ」
そういってともちゃんにへらへらとした笑みを向けながら、心の中はもやもやしていた。
ナギと目が合うのこれで何回目?⋯⋯
まさか、私のほうをずっとみて⋯⋯って自意識過剰すぎか。
私がみすぎてるのかな。
そう思った直後、またナギの悲しげな瞳と目が合う。なんでそんなにも悲しそうな瞳をするんだろう、と心配になってくる。
けど、やっぱり、気のせい⋯⋯だよね。こんなに人がいるのに私の方を見てたなんて絶対あるわけないし。
それに⋯⋯。もう一度見やったナギは、アイドルスマイル全開で先程の悲しげな瞳など嘘のようだ。
悲しそうな瞳をしてたのも、見間違いだよね⋯⋯きっと⋯⋯。
そんなこともあったものの無事にライブも終わり⋯⋯。
ともちゃんとともに会場から出ようとした私だけど、物陰から腕をつかまれてひっぱられる。
「うわあっ!?」
「ちょっ、あんた!」
そういってともちゃんが伸ばした手を掴むことができず、物陰に連れ込まれてしまう。
「なにすんのよ!はなし」
「しー!静かに」
その聞き覚えのある声にバッと振り返る。
「え⋯⋯ナギ?⋯⋯」
「うん。僕。」
そういってはにかむナギはいつもどおりでライブ中にみた悲しそうな表情は嘘のように感じられる。
「な、なに?⋯⋯何の用なの?⋯⋯」
「レントさんに頼まれたんだ。莉音を連れてきてくれーって」
「れん兄が!?」
「うん」
や、やばい。今の私は、タオルとペンライトを振り回しすぎたボロボロの女だ。
汗はすごいし、髪はボサボサ。体臭だって気になるし、見た目的にも気持ちのいいものではないだろう。
「えーと、れん兄のその用事ってやつは今じゃないとダメなものなのかな⋯⋯」
「そんなこと、僕に聞かないでよ」
「あ、だーよねー。ごめんね」
そういいながら、ボサボサの髪の毛をてぐしでとかす。
「あのさ、大丈夫かな?」
「ん?なにが?」
まさか、可愛いくみえるかなんて聞けないしな。ぶりっ子みたいだし。
「少しはましかな?」
そういってナギを見る。
「⋯⋯ま、まあましなんじゃない⋯⋯」
そういってそっぽを向くと
「はやく、いくよ。蓮斗さん待ってるし」
というナギ。私は
「うん」
と答えてスタスタと歩いていくナギのあとに続いた。
私が連れてこられたのは「HRN様」というプレートがある楽屋と思われるお部屋。
こんな一般庶民の私が入っていいのだろうか⋯⋯
ナギが部屋の戸をトントンと二回ノックして中に入っていく。
「莉音、つれてきましたー」
うう⋯⋯私は覚悟をきめて楽屋に足を踏み入れた。
「莉音」
目の前にはニコリと優しく微笑むれん兄。
「れん兄⋯⋯」
れん兄の後方にはソファに座り差し入れの菓子をボリボリと品の欠片もなしに食べているフウガ。
「げっ。なんで姉ちゃん⋯⋯」
「俺が呼んだんだよ」
そういってフウガのほうを見るれん兄。
「は、はあ⋯⋯」
そういってまた菓子を食べ始めるフウガに若干あきれる。
「えっと、れん兄、用事って?」
「うん。一緒に帰りたいな、と思ってね」
その一言がすごく嬉しくて飛び上がりそうになる。
「でも、俺は色々とやることがあったから、ナギに連れてきてもらったんだ」
なるほど⋯⋯それで⋯⋯
「ちょっと待ってて。今、着替えて」
バンッ
唐突に戸がすごい勢いであき思わず飛び上がる。
「うわあっ!!」
「莉音!!」
「え⋯⋯ともちゃん?⋯⋯」
そこには息を切らしたともちゃん。
「やっと見つけたわ!どこにいったのかって心配したんだからね」
そういって私を抱きしめるともちゃん。
「君、どうやってここまで?⋯⋯途中に警備員とかいなかった?」
そうたずねるれん兄。
「いました。でも、邪魔だったんでボコりました」
「⋯⋯⋯⋯」
この答えに流石のれん兄も絶句のようだ。
「あ、あと、私は莉音の友人のともみです。ここにいる方々には是非、ともちゃんってよんでほしいな」
イケメンハンターとしての一面が出てき始めた彼女に若干の身の危険(とばっちりがくるのではないかという恐怖)を感じ、私は一歩身を引く。
「えっと、ともちゃんさん」
そういった瞬間にれん兄の表情が曇る。それはそうだろう。
ともちゃんに思い切り足を踏まれてるんだから⋯⋯。
「ああ、えっと、ともちゃん、心配させるようなことしてごめんね。けど、莉音は俺がちゃんと家まで送るから」
「そうですかあ。じゃあ、私はふうくんと」
「え?ふうくん??」
菓子を食べる手も止まり、固まるフウガ。
ふふっ⋯⋯ざまあ。私が楽しみにしてた苺ミルクプリン勝手に食べた罰ね。
イケメンハンターに狩られてしまえ。
ん?いや、これだとフウガがイケメンみたくなるけどこいつ全然イケメンじゃない⋯⋯などと考えてるとトントンと優しく肩を叩かれる。
振り返るとナギがいてもう着替え終わっている。
私達がごちゃごちゃしていた間に着替えたのだろう。
「僕は先に帰るから。⋯⋯その、気をつけてね⋯⋯」
最後のほうは消え入るような声でそういうと楽屋をでていくナギ。
気をつける?なにに。
ナギは、いつも良く分からないことをいう。私は馬鹿だからこう⋯⋯うまく解釈したりとか、無理なのに。
そんなことを考えながらも心の中はれん兄と帰れるっていう事実に喜びで満ち満ちていたーー。
「夕日が綺麗だね⋯⋯」
そういうれん兄の横顔は夕日を浴びてイケメン度がますます上がっている。
か、かっこいい⋯⋯。
今はれん兄と一緒に家に帰ってるとこなんだけど⋯⋯。
幸せだなあ⋯⋯。
「あのさ」
プルルル
私がふいに口を開いた途端になりだすれん兄の携帯。
れん兄はごめんねというようにこちらをみてから電話にでる。
「⋯⋯はい。⋯⋯はい、わかりました」
そういって携帯をとじると、こちらをみるれん兄。
その申し訳なさそうな表情から事情を察した私はニコリと微笑む。
「れん兄、ここまで送ってくれてありがと!じゃあね!」
「ごめんね、莉音」
そういって私の頭をポンポンするとれん兄はじゃあ、というように手をあげて去っていく。
段々と遠くなっていくれん兄の背中。
いかないで。
本当はそういいたい。伝えたいことがあるから⋯⋯。
「れん兄っ!あのね」
結局、呼び止めてしまった。
「んっ?」
振り返ったれん兄は優しく微笑んでくれる。
私は一瞬でかけた言葉を飲み込み違うことをいう。
「今日のれん兄、かっこよかったよ!」
言いたいことは別にあるのに⋯⋯。
「ありがとう」
そういうと去っていくれん兄。
小さい頃からそうだった。一緒に遊んでるとき、先に帰るのは決まってれん兄。
れん兄のお家の事情もなんとなく察してたし、それが仕方ないことだってわかってはいた。けど、それがとても寂しくてーー。
れん兄は近くて遠い、そんな人。
なのに、なんでこんな気持ち⋯⋯
れん兄、ステキ⋯⋯王子様みたい⋯⋯そんなことを思いながらステージを一心にみつめる私は、HRNのライブにきているところ。
相手をするのが心底疲れるSUNNY'Sの奴らも忘れてライブを満喫している。
隣にいるともちゃんも相当興奮していて先程から尋常じゃないほどに「フウガ」とかかれたうちわを振り回している。
「フウガくん、まじ天使だわ⋯⋯」
「そっかー」
棒読みでそういうことしかできない。風雅、可愛いか?⋯⋯
明らかにれん兄やナギのほうが⋯⋯
と思いつつステージを一心にみつめペンライトをふる私。
はあー⋯⋯れん兄、かっこいい⋯⋯
王子様チックの衣装も手伝って、本物の王子様にみえてくる。
「あ⋯⋯」
「ん?どうかした?」
「ううん。なんでもないよ」
そういってともちゃんにへらへらとした笑みを向けながら、心の中はもやもやしていた。
ナギと目が合うのこれで何回目?⋯⋯
まさか、私のほうをずっとみて⋯⋯って自意識過剰すぎか。
私がみすぎてるのかな。
そう思った直後、またナギの悲しげな瞳と目が合う。なんでそんなにも悲しそうな瞳をするんだろう、と心配になってくる。
けど、やっぱり、気のせい⋯⋯だよね。こんなに人がいるのに私の方を見てたなんて絶対あるわけないし。
それに⋯⋯。もう一度見やったナギは、アイドルスマイル全開で先程の悲しげな瞳など嘘のようだ。
悲しそうな瞳をしてたのも、見間違いだよね⋯⋯きっと⋯⋯。
そんなこともあったものの無事にライブも終わり⋯⋯。
ともちゃんとともに会場から出ようとした私だけど、物陰から腕をつかまれてひっぱられる。
「うわあっ!?」
「ちょっ、あんた!」
そういってともちゃんが伸ばした手を掴むことができず、物陰に連れ込まれてしまう。
「なにすんのよ!はなし」
「しー!静かに」
その聞き覚えのある声にバッと振り返る。
「え⋯⋯ナギ?⋯⋯」
「うん。僕。」
そういってはにかむナギはいつもどおりでライブ中にみた悲しそうな表情は嘘のように感じられる。
「な、なに?⋯⋯何の用なの?⋯⋯」
「レントさんに頼まれたんだ。莉音を連れてきてくれーって」
「れん兄が!?」
「うん」
や、やばい。今の私は、タオルとペンライトを振り回しすぎたボロボロの女だ。
汗はすごいし、髪はボサボサ。体臭だって気になるし、見た目的にも気持ちのいいものではないだろう。
「えーと、れん兄のその用事ってやつは今じゃないとダメなものなのかな⋯⋯」
「そんなこと、僕に聞かないでよ」
「あ、だーよねー。ごめんね」
そういいながら、ボサボサの髪の毛をてぐしでとかす。
「あのさ、大丈夫かな?」
「ん?なにが?」
まさか、可愛いくみえるかなんて聞けないしな。ぶりっ子みたいだし。
「少しはましかな?」
そういってナギを見る。
「⋯⋯ま、まあましなんじゃない⋯⋯」
そういってそっぽを向くと
「はやく、いくよ。蓮斗さん待ってるし」
というナギ。私は
「うん」
と答えてスタスタと歩いていくナギのあとに続いた。
私が連れてこられたのは「HRN様」というプレートがある楽屋と思われるお部屋。
こんな一般庶民の私が入っていいのだろうか⋯⋯
ナギが部屋の戸をトントンと二回ノックして中に入っていく。
「莉音、つれてきましたー」
うう⋯⋯私は覚悟をきめて楽屋に足を踏み入れた。
「莉音」
目の前にはニコリと優しく微笑むれん兄。
「れん兄⋯⋯」
れん兄の後方にはソファに座り差し入れの菓子をボリボリと品の欠片もなしに食べているフウガ。
「げっ。なんで姉ちゃん⋯⋯」
「俺が呼んだんだよ」
そういってフウガのほうを見るれん兄。
「は、はあ⋯⋯」
そういってまた菓子を食べ始めるフウガに若干あきれる。
「えっと、れん兄、用事って?」
「うん。一緒に帰りたいな、と思ってね」
その一言がすごく嬉しくて飛び上がりそうになる。
「でも、俺は色々とやることがあったから、ナギに連れてきてもらったんだ」
なるほど⋯⋯それで⋯⋯
「ちょっと待ってて。今、着替えて」
バンッ
唐突に戸がすごい勢いであき思わず飛び上がる。
「うわあっ!!」
「莉音!!」
「え⋯⋯ともちゃん?⋯⋯」
そこには息を切らしたともちゃん。
「やっと見つけたわ!どこにいったのかって心配したんだからね」
そういって私を抱きしめるともちゃん。
「君、どうやってここまで?⋯⋯途中に警備員とかいなかった?」
そうたずねるれん兄。
「いました。でも、邪魔だったんでボコりました」
「⋯⋯⋯⋯」
この答えに流石のれん兄も絶句のようだ。
「あ、あと、私は莉音の友人のともみです。ここにいる方々には是非、ともちゃんってよんでほしいな」
イケメンハンターとしての一面が出てき始めた彼女に若干の身の危険(とばっちりがくるのではないかという恐怖)を感じ、私は一歩身を引く。
「えっと、ともちゃんさん」
そういった瞬間にれん兄の表情が曇る。それはそうだろう。
ともちゃんに思い切り足を踏まれてるんだから⋯⋯。
「ああ、えっと、ともちゃん、心配させるようなことしてごめんね。けど、莉音は俺がちゃんと家まで送るから」
「そうですかあ。じゃあ、私はふうくんと」
「え?ふうくん??」
菓子を食べる手も止まり、固まるフウガ。
ふふっ⋯⋯ざまあ。私が楽しみにしてた苺ミルクプリン勝手に食べた罰ね。
イケメンハンターに狩られてしまえ。
ん?いや、これだとフウガがイケメンみたくなるけどこいつ全然イケメンじゃない⋯⋯などと考えてるとトントンと優しく肩を叩かれる。
振り返るとナギがいてもう着替え終わっている。
私達がごちゃごちゃしていた間に着替えたのだろう。
「僕は先に帰るから。⋯⋯その、気をつけてね⋯⋯」
最後のほうは消え入るような声でそういうと楽屋をでていくナギ。
気をつける?なにに。
ナギは、いつも良く分からないことをいう。私は馬鹿だからこう⋯⋯うまく解釈したりとか、無理なのに。
そんなことを考えながらも心の中はれん兄と帰れるっていう事実に喜びで満ち満ちていたーー。
「夕日が綺麗だね⋯⋯」
そういうれん兄の横顔は夕日を浴びてイケメン度がますます上がっている。
か、かっこいい⋯⋯。
今はれん兄と一緒に家に帰ってるとこなんだけど⋯⋯。
幸せだなあ⋯⋯。
「あのさ」
プルルル
私がふいに口を開いた途端になりだすれん兄の携帯。
れん兄はごめんねというようにこちらをみてから電話にでる。
「⋯⋯はい。⋯⋯はい、わかりました」
そういって携帯をとじると、こちらをみるれん兄。
その申し訳なさそうな表情から事情を察した私はニコリと微笑む。
「れん兄、ここまで送ってくれてありがと!じゃあね!」
「ごめんね、莉音」
そういって私の頭をポンポンするとれん兄はじゃあ、というように手をあげて去っていく。
段々と遠くなっていくれん兄の背中。
いかないで。
本当はそういいたい。伝えたいことがあるから⋯⋯。
「れん兄っ!あのね」
結局、呼び止めてしまった。
「んっ?」
振り返ったれん兄は優しく微笑んでくれる。
私は一瞬でかけた言葉を飲み込み違うことをいう。
「今日のれん兄、かっこよかったよ!」
言いたいことは別にあるのに⋯⋯。
「ありがとう」
そういうと去っていくれん兄。
小さい頃からそうだった。一緒に遊んでるとき、先に帰るのは決まってれん兄。
れん兄のお家の事情もなんとなく察してたし、それが仕方ないことだってわかってはいた。けど、それがとても寂しくてーー。
れん兄は近くて遠い、そんな人。
なのに、なんでこんな気持ち⋯⋯