溺愛オフィス
ポーチを鞄にしまい、楽しげにお手洗いを出てデートに繰り出す美咲を見送って。
私も仕事に戻ろうと、鏡で身なりをチェックしてからお手洗いを出た時だった。
廊下に、でっかいサングラスをかけた、スタイル抜群の女性の姿。
ただならぬ大物オーラを放つその人は、私に気付くと手を振ってきて。
「蓮井さーん。少し振りー」
親しげに話しかけられ、ハッとなる。
「か、KAORIさん?」
疑問形になったけど、すでに確信していた。
だって、この声にこの存在感。
心当たりは彼女しかいないから。
「どうしたんですか?」
驚きつつ問いかけると、KAORIさんはサングラスを外して微笑む。
「もちろん、一陽に会いに」
「そ、そうなんですね」