溺愛オフィス


仕事のアポでもあっただろうか?

私には何も連絡はないから、もしかしたらまた飲みの誘い……なのかな?

何にせよ、とりあえずここにいてはバリバリ目立つKAORIさんを応接室に案内し、オフィスにいる桜庭さんを呼びに行く。

どうやらアポなしらしく、私がKAORIさんの来訪を告げると、彼は眉根を寄せながら応接室に向かった。

その際、お茶を出すように頼まれたので、私は給湯室で自分がおかわりする予定だった紅茶を淹れ、再び応接室へ。


ノックをし、中に入ると、ソファに座るKAORIさんの前に紅茶を置いた。

いい香りだと笑みを零し、ありがとうと告げられる。

その笑顔に、女であるにも関わらず、私の胸が高鳴った。


「ねー、蓮井さん、貴女からもお願いしてくれない?」


突然、私に話を振るKAORIさん。

何をお願いするのかの話も見えず、瞬きしていたら。


「一陽、今夜もデートしてくれないのよ」


ああ……

今日の用事もやっぱりそれだったんですね。


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