溺愛オフィス


でも、お願いも何も私がそんな事を桜庭さんにするわけにもいかず戸惑いながら苦笑い。

すると、桜庭さんが呆れた声を出す。


「だから、悪いが暇じゃないんだ」

「そんなの知ってる。でも、今日は時間あるし、仕事が終わるまで待てるわ」


時間があることをアピールしたKAORIさん。

これはさすがに桜庭さんも断りきれないだろうなぁと思っていたら。

何故か、桜庭さんの瞳が私を見て。

つかつかとこちらに向かって歩いて来たかと思えば。


「こいつと先約がある」


そう言って、肩にポンッと手を乗せた。

触れられた事に抵抗感はない。

それよりも、触れられた瞬間に桜庭さんが小さく発した言葉に意識が行ったのだ。


"合わせろ"


桜庭さんは、確かにそう言った。

つまり、KAORIさんの誘いを断る為に協力しろということだ。


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