溺愛オフィス


KAORIさんの溜め息が聞こえて。

桜庭さんが「そういうことだから」とか言いながら、KAORIさんを帰らせる為に応接室から出て行く。


一人残された私は、肩の力を抜いて長い息を吐き出した。

そして、少ししか飲まれていない紅茶をトレイに乗せ、給湯室へと足を向ける。


今度こそ、自分の分を用意して仕事に戻ろう。

そう考えて、オフィスから持ち出した愛用のマグカップを洗っていたら。


「蓮井」


KAORIさんを見送り終えたのか、給湯室に桜庭さんがやってきた。

そして──


「てことで、一時間後に出るぞ」

「……え?」

「飲みだよ。仕事、終わらせろよ」


何故か、本当に桜庭さんと過ごすことになったのでした。

















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