溺愛オフィス
「気にします。困ります」
反論するも、桜庭さんはどこ吹く風といった様子。
それどころか、からかうように唇を歪ませて。
「蓮井は好きな奴でもいるのか?」
そんなことを聞いてきた。
途端、何故か目の前にいる桜庭を意識してしまう。
ち、違うでしょ。
桜庭さんは私の好みと全然違うんだから!
「いたとしても、桜庭さんには教えません」
強気に答えてみるも、密かに騒ぎ続ける心臓。
落ち着けようとスプモーニを飲めば、いまだからかうように桜庭さんは私を見ていて。
「お前の両親は心配だろうな。男が苦手なんて、嫁に行くのは確かに遅れそうだ」
いらない言葉を投げつけてきた。
確かに、とつけたのは、以前オフィスで私がした話を覚えていてくれてるからだろう。
覚えてくれているのは嬉しいことだけど。
「余計なお世話です」