溺愛オフィス
「蓮井。新作のリース状況はどうだ?」
「レディースだと、シャツワンピやワイドパンツが多く出てます。あとは、レースアップアイテムですね」
それから、メンズ、キッズと、私が把握している限りで報告すると、桜庭さんは「なるほどな」と告げ、手にしていた服をラックに戻す。
いけない。
掃除をしなくちゃ。
一応午前中にも掃除はしてあるけど、プレスルームはブランドのイメージを損ねないよう、常に綺麗にしておかねばならないのだ。
私はそそくさと掃除を始める。
テーブルの上を丁寧に拭いていた最中、感じる視線。
もちろん、ここには今、私と桜庭さんしかいないので、私は顔を桜庭さんに向けた。
案の定、視線がぶつかる。
なんですか? と口を開きかけるよりも先に、桜庭さんが声を発した。
「蓮井。着方を変えろ」
「え?」