溺愛オフィス
「一度、ぶつかってみたらどうだ?」
「……父に、ですか?」
問いかけると、桜庭さんは頷いて。
「目に映るものが全てじゃない。嫌われてると、蓮井が勝手に思い込んでいる可能性だってある」
……確かに、父から嫌いだと言われた記憶はない。
けれど、父と向き合うのは、とても勇気がいることで。
ぶつかった時、明らかにされるのは……
"嫌悪"か"愛情"か。
それを知るのが怖くて、迷い、答えあぐねてしまう。
──だけど。
「……ぶつかってみる、かぁ……」