溺愛オフィス
土曜日の夜。
桜庭さんと会話した後、睡魔に身を委ねた私は、窓から射し込む朝の眩しい光を感じて目を覚ました。
けれど。
『──あれ?』
ソファで寝ていたはずなのに。
『え?』
起きたら、ダブルベッドの上で。
驚きつつも、適度な弾力性のあるベッドから降りてリビングを覗けば、ソファには私の代わりに桜庭さんがスヤスヤと寝息を立てていた。
自分で動いた記憶も、起こされて案内された記憶もない。
ということは、つまり。
あることを想像して、早朝から軽くテンパッていたら。
『……ん……』
私の気配に気付いたのか、桜庭さんが瞼を震わせて。
『……なんだ、起きてたのか』
まだ眠そうにしながら体をゆっくりと起こした。