溺愛オフィス
少し伸ばして切り取って。
ペタペタと服についている埃を取り除いていたら……
「土曜、桜庭さんと過ごしたんだ?」
いきなり聞かれて心臓が跳ね上がった。
「き、聞いてたの?」
手を止めて壮介君を見れば、彼は不服そうに眉根を寄せて。
「聞こえてきたんだよ」
心外だと言いたげに、僅かに唇を尖らせた。
「で? 質問の答え」
壮介君は手を止めず、埃を取り続ける。
視線も、衣装に向いたまま。
私も同じようにしながら、唇を動かす。