溺愛オフィス
「病院の帰りに偶然会って、それで台風事情により桜庭さんの家でお世話になったの」
「……それってもしかして、泊まった?」
「そう、だね」
嘘をつくのもおかしいから正直に答えたら、壮介君は動きを止めた。
チラリと様子を見ると、彼はさっきよりも険しい顔をしていて。
「……なんか、怖いよ」
思わず口にしてしまうと、壮介君は怒気を含んだような声色で「何が」と言った。
壮介君の顔が、とは口に出来ず。
「……機嫌悪いの?」
それだけ確認する。
すると、壮介君は私を睨むように見て。
「……悪いよ。最高に悪い。柊奈さんのせいで」
私の名前を声にした。
「わ、私っ?」
驚いて私も作業の手を止めた時だった。