溺愛オフィス

「ひどいじゃん。俺の告白を冗談にするんだ？」


イラつきながら鼻で笑った壮介君の瞳は、怖いくらいに真剣で。

いっそ、冗談だと笑い飛ばして欲しいと願ってしまう。


そうすれば。


「ね……痛いよ、壮介君」


手首に感じる痛みも。


「柊奈さん、俺は本気だよ」


この状況に生まれた恐れからも。


「冗談でコクる程、軽くないつもりだし」


解放されるのに。


壮介君の腕が、私の腕を彼の方へと引く。

縮む距離感に……


「やっ……」


体が強張る。


壮介君から離れようとしても、びくともしなくて。


「逃げんな」


更に近づく距離に、私の頭が軽いパニック状態に陥った──瞬間。