溺愛オフィス


「蓮井にとっては、お前が思う程度の"これくらい"じゃないんだ」


それは、私のことをちゃんと理解してくれている言葉。

嬉しくて仕方ないのは、助けてくれたから?

わかってくれているから?

それとも……


「……何? 桜庭さん、柊奈さんのことよーく知ってるって感じ?」


苛立ちを含んだ壮介君の声。

それを向けられてる桜庭さんは動じる様子もなく。


「さあ?」


僅かに首を傾げて答えると、腕時計を確認した。


「KAORIが到着する前に、しっかり準備しておけよ」


そう言い残し、桜庭さんは階段を下りていく。


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