溺愛オフィス


「……柊奈さん」

「は、はい」


私に背を向けたまま、壮介君に声を掛けられる。


「桜庭さんが知ってて、俺が知らないことって何?」

「あ……と、それは……」


一瞬、話すべきか迷った。

けれど、壮介君の気持ちが本物であるなら……


ちゃんと、話すべきだと思ったから。


「実は、男の人がちょっとだけ苦手で」


私は、素直に明かした。

すると、壮介君は予想していなかったのか勢い良く私を振り返って。


「──え? 苦手って……」


瞬きを繰り返した。


< 160 / 323 >

この作品をシェア

pagetop