溺愛オフィス
「あーやだ、蓮井さんてば最悪」
「……え?」
KAORIさんは私にきつい眼差しを向けながら。
「モデルにこんな甘いもの出さないでよ」
艶やかな唇を動かし、ワッフルを自分の前から遠ざけるように手で押した。
「ご、ごめんなさいっ」
そうだ。
彼女はモデルだ。
体型維持の為にダイエットだってしてるだろう。
いくら好物だと聞いていたからって、もっと気を使うべきだった。
「気がきかない女」
嘲笑うように言われ、私の体が羞恥と申し訳なさで硬くなる。
すると、いつの間に傍にいたのか。
「柊奈さん、俺これ好きなんだ。もらっていい?」
「あ……うん」
壮介君が、箱をひょぃっと私から奪う。
そして、松岡さんにもひとつ渡すと、他のスタッフにも配りに行った。