溺愛オフィス
KAORIさんからの声はかからない。
けれど代わりに……
──ふわり。
頭から、白いフェイスタオルがかけられて。
「これ、使え」
耳に届いたのは、桜庭さんの声。
顔を上げると、目の前には……
桜庭さんの広い背中。
桜庭さんは一度私を横目でチラリと見てから、一瞬だけ口元に緩い笑みを乗せたかと思えば。
すぐ、KAORIさんと向き合いなおして。
「くだらない。ガキみたいな真似するな」
彼女を、静かな声で叱った。