溺愛オフィス
【胸に染みるのです】
桜庭さんから発せられた叱責の言葉に、KAORIさんが眉根を寄せる。
「……なぁに? 今、何か言った?」
聞こえていない振りをして、KAORIさんは腕を組んで桜庭さんを見つめる。
彼女はわかっている。
自分の立場がどれだけ重要か。
だから、堂々とそこに座っていた。
それは桜庭さんもわかっているはずだ。
だからきっと、この場を取り成すために私たちの間に立ってくれているのだと、そう……思っていたのだけど。
「お前はここに何をしに来たんだ?」
桜庭さんは、さらに厳しい声色をKAORIさんにぶつけた。
当然、KAORIさんの表情は益々機嫌の悪いものに変わっていく。
けれど、それを気にした様子もなく、桜庭さんは……
「プロとして成長してるのかと思いきや、昔と何も変わってないな。相変わらず勝手な女だ」
冷たい目でKAORIさんを見た。