溺愛オフィス
夕刻、人もまばらなオフィス。
桜庭さんのデスクに視線をやれば、彼の姿はまだそこになかった。
ホワイトボードも、ここを出た時のまま変わってない。
私は少し落胆しながら自分のデスクに座る。
あれ?
……なんで私、落ち込んでるんだろ。
"桜庭さんがいないから"
パッと頭に浮かんだ原因に、私は一人驚き目をむいた。
ち、違う!
結果が早く聞けないからに決まってるでしょ私!
ゆっくり深呼吸して心を落ち着けて、隣の席を確認する。
壮介君はもう帰宅したようで、彼のデスクの上はパソコンの電源も入っておらず、綺麗になっていた。
私は自分のパソコンの電源を入れ、桜庭さんが戻るのを待ちながら仕事をする。
陽が完全に落ちて、オフィスにも人の姿がほとんどなくなってきた頃、腕時計で時間を確かめる。