溺愛オフィス
「んで、柊奈の方はどうなの~?」
「どうって?」
「桜庭さんとかー、新人君とかー? 恋愛、動いてるんじゃない?」
ニマニマしながら聞いてくる美咲。
お……おかしい。
私はまだ、美咲に何も話してないのに。
桜庭さんの家でちょっとお世話になったことも、壮介君に告白されたことも。
なのに何故か、美咲の顔は"私、知ってますよ"と言っているようで。
「う、動いてるというか……」
美咲には結構何でも相談してきたけど、同じ職場の人間だということがなんとなく言い辛くさせていて。
「ふふん。やっぱり動いてるのね?」
楽しげな美咲に、どう話そうかと迷っていた時だった。
店内入り口から入ってきた、スタイル抜群の女性。
歩いているだけで、一般人とは違うオーラを放っているその人は……
「KAORI、さん?」
私の声に立ち止まって。
「……なんでいるの?」
眉根を寄せた。