溺愛オフィス
『はい、あとは頑張って。単純だし、畳み掛ければいけるいける』
ハートの絵文字つき。
美咲……仕事に繋げようとしてくれたんだね。
ありがとう。
でも……まず、たたみかけるのが私には出来そうにないよ!
美咲みたいな会話スキルが私にはないし、どうしようかと迷って。
とりあえず当たり障りのない会話から始めようと、口を開きかけたら。
「正直に言わせて貰うと、私、あなたみたいな人嫌いなの」
KAORIさんからストレートパンチを食らった。
さ、さっき美咲パワーで上がったはずのご機嫌はどこへ行ったのか。
KAORIさんとは今日までに色々あったけど、いきなり嫌いと言われるとさすがにダメージが大きい。
しかも面と向かってだと、心臓への負担は倍増だ。
どう返していいのかわからないまま黙っていると、KAORIさんは更に続ける。
「いい子ぶって、守ってもらって。自分でしっかり地に足つけて立ってるようにも見えないし」
いい子ぶるって……
そんなつもり、私にはない。